1人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あの、もう1回聞いても?」
衝撃のあまり、一度ではとても飲み込めない要請に聞き返すと、それを寄越した張本人である水淵先輩は、さっきよりも高らかにリピートした。
「だから、披露宴をぶち壊すのよ。私と、あなたで。」
事の発端は一昨日。社蓄と化し、仕事の命令以外を吐かなくなった俺のスマホに届いた1通のメールから始まった。
送り主は水淵マリア…さん。大学で同じサークルに所属していた先輩で、ミスキャンパスにも選ばれた高嶺の花であり、当時片想いをしていた憧れの女性だ。
そんな彼女から数年ぶりに届いたメールが〝近いうちに会わない?〟なんて内容だったもんだから、仕事以外の何もかもに飢えていた俺は即刻飛びついた。
締切前の無い時間をどうにか絞り出し、出来得る限り身なりも整え、指定されたホテルの部屋に意気揚々と会いに行った。
で、今に至る。
最初のコメントを投稿しよう!