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しぃん、と家の中は静まり返っていた。
凪がフラフラと二階へ上がっていく。
自分の部屋に行くのだろう。
撫子は一瞬躊躇したが、靴を脱いで、家に上がった。凪を放置して帰るわけにもいかない。
店長に連絡を取ると、「ごめんね、お願い」と、申し訳なさそうな声が返ってきた。
店から持ってきたペットボトルの水を持って、凪の部屋に行くと、凪はそのまま倒れこんだように、ベッドで眠っていた。
「凪くん」と囁くと、うっすら目を覚ましたので、水を差しだす。喉は乾いていたようで、身体を起こすと、黙って受け取った。ごくごくと喉を鳴らして飲むと、またベッドに横になって眠りに落ちていった。
タクシーの中ででもあげればよかった。ずっと撫子のカバンに入っていたので、ぬるくなっていただろう。それでもあれだけ飲んだということは、そうとう喉が渇いていたのだ。熱があったので、よけいにそうだったのだろう。
撫子はまたひとしきり、自分のいたらなさに落ち込んだ。
しばらくは寝かせておいた方がいいのかな。
そう思いながらも、凪が給食を食べ損ねていることを思い出す。熱があるので、食欲はないかもしれないが、お腹はすいているはずだ。
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