a backwards letter

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クローゼットを開けると、その中にはハンガーにかけられた洋服が詰まっていた。私は洋服をかき分けて、奥にある箱を取り出す。ブランド名が書かれたその箱の中には、ベルトが入っている。私は手に取って、その赤いベルトを見つめる。幅は太めで、ちょっとやそっとじゃ壊れないはずだ。本当はロープが良いのかもしれないが、外に出かけて買いに行く気力もない。 私は振り返り、部屋の天井を見る。そこには大きめのシーリングライトがついている。翔太が大型の家具店で選んだものだ。きっと小さな私の体を吊るくらいは問題ないだろう。 私は今日、死ぬ。このベルトで首を吊って死ぬ。そこに迷いはなかった。むしろ、翔太がいる場所に私も早く行きたい、そんな考えが頭の中を支配していた。
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