空腹な冷蔵庫

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空腹な冷蔵庫

 「お腹が空いた」 僕はグレーの冷蔵庫を開ける。 しかし、冷蔵庫に食べ物は何もなかった。 僕と一緒で冷蔵庫もお腹が空いているみたいだ。  僕は5歳でママと二人暮らし。 パパはママのお腹が膨らんだ頃居なくなったらしい。 そもそも、パパになったことなんてなかったらしい。 僕は空腹のまま散らかった部屋でうずくまっている。  「グゥー」とお腹が鳴る。 「お腹空いたなぁ」 19時を回っているがママの帰りは遅い。  23時になってママが帰ってきた。 「ただいまぁ〜」珍しくママは上機嫌だ。 ママの後ろには知らない男の人がいた。 「これ、うちの息子のレン!」 男は「へー!レン!よろしく〜」 髪色は金色でチャラそうな男の人だった。 ママは「レンも挨拶して、彼氏のユウくん!」と言ったので。僕も「こんばんは」と軽く挨拶した。  ママはコンビニで買った おにぎりとサンドイッチを僕に渡した。 やっとご飯が食べられる!と 僕はとても嬉しかった。  空腹のご飯は最高だ。 僕は毎晩この幸福を味わっている。 ドッグフードを出された犬も 息を荒げながら食べるように きっと空腹のご飯は皆幸せなんだろう。  ママは僕にご飯を渡した後 リビングで彼氏とイチャついていた。 ママは僕の事やお金の事で とても悩んでいていつも不機嫌だ。 僕がママの機嫌を損ねると いつも暴力を振るわれるが 今はそんな素振りは全くない。  こんなに機嫌がいいママは久しぶりに見た。 前にも彼氏がいたが半年前に別れた。 僕はやっと平和な日々が送れると安心した。 ママは「レン、早く寝てね」と言った。 僕はおにぎりとサンドイッチを 全部食べてから自分の布団に行って眠った。  翌日12時頃に僕が起きるとママも彼氏もいなかった。きっと彼氏とデートにでも行ったんだ。 ママはよく外に遊びに行く。 僕はテレビをつけた。 録画してあったヒーローものを見るためだ。 やっぱり赤がカッコイイ。 でも、僕の服は白いTシャツか今着ている 少し首がヘタれた汚れが目立ちにくい黒い服しかない。
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