1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
プロローグ
私は、あの時の自分を、きっとーー許せない、許さない。
私は、すれ違った。
彼と、彼女も、すれ違った。
すれ違いで、こんなに変わってしまうのが許せなかった。
何よりも許せなかったのは、自分自身だ。
まとわりつく空気が、苦しくて。重くて。
身動きが取れなかった。
何より許せないのは自分自身。
あの日の自分自身が、私は許せない。
どんなに無力かを、思い知った。
だから、もう二度と、あんなことにならないように。
何とかしたいのに、動けないなんて嫌だから。
私は、まとわりつく重たい空気に呑まれて、動けなかった自分を、
あの日の自分を、許さない。
そうすることで、忘れない。
あの日の悔しさを忘れずに、どうしたら良いかを、考え続ける。
最初のコメントを投稿しよう!