転校早々にこうなるとは思わなんだ

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転校早々にこうなるとは思わなんだ

 今日から新しい学校生活が始まる。  親の転勤を機に、一人暮らしすることになったのだ。  馴染みのない土地で、知り合いのいない状態から始まる学校生活。正直不安しかないが、充実した日々を送れるようにしていけたらと思う。  そんな気持ちを抱きながら、学校へ向かった。     *    *    *  この空間...つらいな...。  覚悟してはいたが、高校2年から転校して始める学校生活。教室では1年の頃から形成されたであろうグループが出来上がってるように見える。  授業前の10分休憩ですらひたすらに長く感じて仕方なかったというのに、昼休みともなるとメチャメチャ長くてつらい。  そんな気持ちをごまかすようにスマホに集中しようとしたところで、後ろから肩に手が触れた。  「本田くん...だったっけ?」  振り向くと、めっちゃ可愛い女子が眩しい笑顔でこちらを見ていた。  「あ、ああ、うん」  やべー、キョドるわこれは。  いや、なんか可愛い感じの女子が後ろだなとは思ってたけど、めちゃくちゃ可愛いなこの子! びっくりするレベルで。  「よかった! 豊田姫乃です! よろしくね~」  「よ、よろしく」  明るく気さくな後ろの席の女子に声をかけてもらい、俺の気持ちは一気に晴れやかになった。  「ヒメー、転校生と何話してんのー? イジメちゃダメだよー?」  豊田さんと話始めると、1人の女子が声をかけてきた。見た目からしてギャル。  豊田さん本人は清楚な感じがするだけに、意外な組み合わせ。  「イジメたりなんかしないし! 私はただ、本田くんに色々聞いてみようと思っただけー」  「ならいいんだけどさー。転校生のこと初日からイジメちゃだめだよー?」  金髪ギャルは、ずっとイジメの心配をしている。  「初日から」って...まさか、俺はこれからイジメられるのか?  「私のイメージ悪くなるようなこと言わないでよね! いまは本田くんに色々聞きたいんだから、ジャマしないでよねー」  「はいはいわかりましたよー。じゃあ、またあとでねー」  ギャルは、あっさりと自分の席に戻って行った。なんだったんだ...。  「本田くん、気にしないでね? 私はお話してみたいだけだから」  「ああ、うん」  その後も、豊田さんと楽しいおしゃべりの時間を過ごして、転校初日から充実した昼休みになった。     ◇    ◇    ◇  「ちょっと」  放課後になり、帰る準備をしていたところ、誰かが突然俺の机の前に両手をついて話しかけてきた。  「?」  突然のことに驚き顔を上げると、そこには...。  「話があるから、来てくれるかしら?」  美人な女子がいた。  豊田さんが明るく可愛い女子だとしたら、いま俺に話しかけてきた女子は美人でクールな雰囲気だ。  「えーっと...どちらへ?」  なんの話だろうか。学級委員でもやってるのかな?  「いいから。一緒に来て」  「ああ、うん...」  不安になりながらも、言われるがままその人の後について行くことにした。
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