約束

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約束

「……叶えてあげようって……。フクロウ、まさかおまえが……。」 「ホッホゥ!いかにも、私が願いを叶える妖精だよ。叶えてあげられる願いは一人ひとつだからね?よく考えなさい。」 フクロウを前に、2人は何も言えずにいた。 願いを叶えてもらえば、ロロは元の時代に変えることができる。けれど、チャコレのことは忘れてしまう。 願いを叶えてもらえば、チャコレは両親と再会できる。また家族で過ごすことができる。けれど、ロロのことは忘れてしまう。 ……どうしよう。 2人の頭の中では、その言葉が繰り返されていた。 しばらくして、フクロウが声をかける。 「……願いは叶えなくていいのかい?なんにもないなら、森から帰ってもらうけど?ホッホゥ?」 フクロウの催促に、ロロが覚悟を決めたようにチャコレに向き合って言った。 「チャコレ。……叶えてもらおう。俺たちの願い。」 「ロロ……。」 「チャコレのこと、忘れたくないし、チャコレにも忘れて欲しくないけど…。すごく寂しいけど、でも……。」 「……ロロの時代には、ロロの家族との大切な思い出がたくさんあるもんね。うん。わたしもロロに、その思い出を大事にして欲しい。」 ロロの目を見て、はっきりと言ったチャコレに、ロロは泣きそうになるのを我慢して言った。 「おれ、チャコレのこと忘れても、ぜったい思い出す。………ほら、おれの時代じゃ、チョコレートが降るだろ?空から魔法みたいにチョコレートが落ちてくる日がくる度に、きっとチャコレのこと思い出す。……名前似てるしさ。」 「……こんな時までからかわないでよ! もう。……でも、そうだね。わたしもぜったい忘れない。忘れても、思い出すよ。ロロのこと。」 チャコレがロロの手を握る。ロロもぎゅっと握り返した。 「「約束する。」」 「話は纏まったようだな。」 2人は手を繋いだまま、フクロウに向き合った。 「ロロ…。お先にどうぞ。ちゃんとお見送りしてあげる。」 「…分かった。……チャコレ。おれ、この時代に来れてよかったよ。お前に会えたし、楽しかった。……父さん母さんと幸せに。さよなら、チャコレ。」 「ロロ……。ありがとう。わたしも、ロロと会えて楽しかった。家族をなくして、ずっと寂しくて落ち込んでた…。でもロロと、話して、勇気をもらった。元気になれたんだ。ほんとうに、ありがとう。…さよなら、ロロ。」 泣きながら笑うチャコレを見て、ロロの瞳からも涙がこぼれた。それでも、何とか笑って頷くと、チャコレの手を離し、フクロウのいる泉の前へ進みでる。 「おれの願いは……。」 「…っおれを、もとの時代に帰してくれっ!」 「ホゥ!ホッホゥ!…わかったよ。」 ロロを優しい光が包み込んだ。
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