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チャコレの願い
「ホゥホゥ。……大丈夫。彼のことはちゃんと、彼の生きる時代へ送り届けたよ。……さぁ、君の番だ。」
チャコレが前へ進みでた。
「ひとつだけ。君の願いをなんでも、ひとつだけ、叶えてあげよう。」
チャコレは目を閉じた。
両親をなくした、ひとりぼっちの生活は寂しくてたまらなかった。寂しくて、悲しくて、家族が恋しくてたまらなかった。
だから、フクロウの森へやってきたのだ。もうこんなに寂しい思いはいやだ、と。
森の中を歩き続け、森を追い出されるかもしれない、いつ案内フクロウが現れるのか分からない不安に、心が折れそうになった時、ロロと出会ったのだ。自分と同じく、家族をなくした、ひとりぼっちの少年。それでも、前へ向こうとする彼の明るい笑顔に、自分も俯いてばかりではいられないと思ったのだ。
「……じゃあ、おねがい、」
「これから毎年、1月13日の午後3時37分に、空からチョコレートを降らせて……!」
たとえ、忘れてしまっても、空からチョコレートが落ちてくる度に、わたしはロロを思い出すだろう。
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