キミは目玉焼きのキミ

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 俺の目玉焼きの食べ方を恋人は下品だと指摘した。 「ごめん、昔観た映画の真似してたら止められなくなって」    言い訳しながら食事を続ける。目玉焼きの黄身に直接唇をつけチュウチュウ中味を啜った。  麗美はやめてよと怒るがそれを微笑みで受け流し、黄身がいっぱいついた唇を寄せた。  舐めてと眼で訴える。  狭いアパートの居間とも呼べない空間、折りたたみの小さなテーブルに並ぶままごとのような朝食。付き合いたての俺たちはいつだってピンク色の空気を醸し出せたし、常に互いの体を求めていた。  麗美が同じ食べ方をするまでそう時間はかからなかった。だって俺たちは好き合っていたから。二人して目玉焼きを吸い、互いの唇に着いた黄身を舐め取るのは休日の朝の恒例行事となっていた。
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