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小さい頃から、彼女には泣かされてばかりだった。
幼少期の僕は人一倍どころか、人の三倍くらいと言ってもいいほどの怖がりで、昔から気の強かった彼女はそんな僕をからかって、よく悪戯をしかけてきた。
肝試しをしようと言いだして、夜の神社で驚かせてきたり、犬や虫が苦手な僕を無理やり引っ張って、わざと戯れにいったり。
びっくりして叫んだり、怖がって泣きべそをかいたりしている僕を見て、いつも彼女は面白そうに笑っていた。
「ごめんね、びっくりさせちゃって」
それが彼女の定番の言葉で、僕はそれを幾度となく聞かされてきた。
ごめんね?
ごめんねとか言いつつ、またやるじゃないか。
僕はその度、そんな彼女に怒りを燃やしていたのを覚えている。
ゆるさない。今度は僕の番だ。
次は絶対に僕がびっくりさせて、こいつを泣かせてやるんだ。
しかし、そんな思いはいつまでも叶わず、結局また僕が泣かされていたのだった。
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