責任感

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ハードな1日だった。事故だ、まさしく事故。 普通に考えるとやり逃げされたと言っても過言ではない。 彼の名前をきかなかった。職業も年齢も住んでいる場所も知らない。 後からしつこく、これをネタに脅されたらたまったもんじゃない。 もう体を差し出したんだから勘弁してほしい。 ラインを交換したわけでもなかったから、彼ももう会わないつもりなんだろう。 24歳の夏にとっては一回り近く離れた大人の男性だった。 一夜のお遊びだと思ってくれるだろう。 夏はふーと長いため息をついた。 私もイケメンと一夜を共にできたんだからラッキー程度に思っておこう。 正直、気持ちいいとか興奮したとかはなく、とにかく激しかったという感想だ。 多分彼なりに気を遣ってくれてはいたのだろうが、媚薬の効果か、荒々しい息づかいと、大胆な抽挿はとどまるところを知らず、夏の身体は所々にうっ血した箇所が残るほどだった。 服装からしてかなりエリート階級の紳士だったにもかかわらず、まるで女に飢えているかのような抱き方だったのではないか。肉食系と言う言葉を体感した気分だった。 ただありがたい事に、気持ち悪いとか嫌だったわけではなかったのが救いだ。 早く忘れてしまうに限る。 そう考えながら彼が買ってきてくれたお弁当の袋の中を見ると、そこにはデリケートゾーンに塗る女性用の薬が入っていた。 デリケートな部分が痛いわけではなかったが、これを男性が薬局で買ったのかと思うと、彼は結構度胸があるなと思った。 今日は土曜で大学は休みだ。夏は四つん這いで起き上がるとバスルームへ向かった。 冷蔵庫から水を取り出すと、冷蔵庫の中にマスクメロンがまるごと1個入っていた。あの人どれだけ買い物したんだろう食べきれない。 洗濯をして、掃除をして熱いお風呂に入って。お気に入りの映画を観ながらデパ地下弁当を食べる。1日中家から出ずにゆっくりする。そう決めると夏はきれいさっぱり昨夜の事を頭から追い出した。
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