責任感

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大人の便利グッズを使って、ご自分で処理して頂くつもりだったが、その考えは相手には伝わっていなかった。 手伝うと言った手前引くに引けず、夏はネットで観たことのあるテクニックを駆使し手にローションをつけて頑張ったわけだが。 もちろん男性のそれを触るのが初めてなので、もう大変なことになった。 「いくらなんでも下手くそ過ぎる……」 絶望的な彼の言葉にショックをうけた。夏は涙ながらに。 「申し訳ありません!よろしければ、ご自分でお好きなようになさったらよろしいかと……」 ローションでベタベタした手をタオルで拭って、川端ボックスからアダルトサイトでよく見る男性のそれを形どった茄子のような玩具を彼に手渡した。 後は自分で処理してくれたらいい。 夏はただただ頭を下げて謝るばかりだった。 大学に合格した時、それまで付き合っていた地元の同級生と別れた。 お互い遠距離恋愛になるため、このまま関係を続けていくことが難しかったからだ。 納得の上、別れた二人だったが相手の事は好きだった。ただ遠距離になってまで続けようという熱い気持ちは持てなかった。 彼も夏も初めて付き合った相手で最後に流れで体の関係を持った。 それはとてもぎこちなく、あっけないものだった。 初体験を済ませておくということは、東京で新しい生活をスタートさせるために必要なタスクのひとつだった。 夏にとっては東京で田舎者扱いされたくないという子どもじみた考えからの行為だった。 後にも先にも経験はその1回だけで、何故か24歳の今も彼氏はできなかった。 アルバイト先のバー『PROBE』はマスターとその友人たちで始めたバーで、彼らは皆、揃いも揃ってイケメンだった。 ちょっとした芸能人よりもかっこいい男前に囲まれて、メンクイになってしまった夏はそれ以上の見た目の男性になかなか出会えなかった。 幾度となく告白されたにもかかわらず、彼氏ができなかった原因は、周りにイケメンが多かったからだと思っている。 見ているだけで幸せだと満足してしまい、実際自分が誰かと付き合う事は考えなかった。だから夏の夜のテクニックが上達する術もなく今にいたる。
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