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金属がはじけるような大きな音が建物内に響いた。
懐中電灯を落としたのだと男が気が付いたのは、数秒の間点滅していた光が消えてからだった。
割れた窓ガラスからは、ヴェールのような薄明かりが差し込んでいる。いつの間にか、夜明け間近になっていた。
男の呼吸は荒く、体中から汗が噴き出していた。
広間から人や明かりは消え、代わりに草木が生い茂っていた。
男のそばには、古びた木の椅子が三脚、残されている。
しばらく呆然と立ち尽くしていた男はふと我に返り、逃げるように『荷物』が積まれた車へと駆けだした。
割れたガラスや崩れた天井の一部と思しきものが散乱する埃っぽい廊下を走る。
朽ちかけた階段を駆け下り、ぼろぼろの絨毯に足をとられながらも、扉の外れた玄関からようやく外に出た。
洋館からは、いくつもの笑い声が男を追いかけるように聞こえてきた。
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