胸糞ピエロのからさわぎ

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 一体いつから好きだったというのか、好きだという素振りを出されたことがあったろうか、考えてみても該当する記憶はない。  帰宅してからも俺の精神は告白の余波で揺れまくっていて、手を伸ばして掴める枝は他責しかない。いや実際、太陽は俺にひどいことをしたはずだ。俺にひどいことを言わせるという加害をした。その上で傷ついた顔を見せもしない。舐めてんのか。舐めてんだろうな。俺の動揺を見て笑ってんだろう。今頃俺のことなど忘れて、ゲームでもやってるかもしれない。クソむかつく。  でもまあ、明日から気まずくなるのなら許してやってもよい。俺からさり気なく、気まずさを取り除くために動いてやってもよい。間に鳥居と成田を挟んで、四人の飲み会でも開けばどうだろう。そうしたら俺はまあまあの善人じゃないか。  配慮を欠いた告白をしてきた奴を気にかけて、輪に入れてやる。そうしよう、と考えながら寝た。  寝る前に実はエロ動画で抜いた。  面白くない気分を払拭したくて、ちょっと派手な、過激なやつで景気よく抜こうと思ったけれど、途中で抜かされている気分になって、陰鬱に射精した。  翌日は2限に俺、太陽、鳥居、成田が揃う講義があった。三年にもなると四人が揃う講義はなかなかにレアで、講義後に集まるのは自然なことだ。自然なのでその日も集まった。いや、そこには不自然が発生するのが自然だろうと俺は思う。俺は常識寄りの人間のはずだ。  非常識なのは普通の顔して集まりに寄ってきた太陽だ。
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