0人が本棚に入れています
本棚に追加
鳥居に連絡する。
「俺も知らなかったけど、先月に招待状送っていいかっていきなり聞かれてさ、その時にわりと根掘り葉掘りしちゃった。俺ん時は式とかしなかったし、準備とかめんどくさそうで大変そうだったよ」
「あ、そ。そうなんだけどさ、俺も聞いてたけどさ、実物届いたら思った以上にビビって。あいつが俺らの中で二番目に結婚するとは思わなかったし」
「お前告られてずっと元彼気分だったんじゃねえの? 彼女居るなんてあいつ話したことなかったしな」
「冗談きついし、今の今まで忘れてたわ」
「忘れてやるなよお、青春だろお。ま、お前もそろそろいい歳ってことだよ」
鳥居の後ろで四歳だか五歳だかと聞いている娘の声がする。長電話は申し訳なく、俺から電話を切った。
成田に連絡するとき、俺のなかには予感があった。
「太陽の結婚式の招待状届いた? いやあ聞いていたけど実際届くと驚かない?」
「あー、送っていいか連絡来たときに十分驚いたから、今は別に」
「そう、いやあなんか焦らされるなあ」
「お前も彼女と長いしな」
「お前もな」
今度も俺から切った。
やはり成田も事前に知らされていた。なぜ俺だけが招待状を送る前の連絡から外されたのか。そのくせに送ってきたのか。単純に忘れていたとしても失礼な話であるし、わざとなら意味が分からない。
最初のコメントを投稿しよう!