14人が本棚に入れています
本棚に追加
気まずい雰囲気のまま、一時間ほど車を走らせていた。途中にあるサービスエリアで休憩をするのはいつものことだったが、旺志郎は何かを言いたそうに口をもごもごさせて先に車を降りた。
はあ、どうしていつも私を置いて先に行っちゃうんだろう……
旺志郎の後ろ姿は、何回見ただろうか。横に並んで歩くなど、私の記憶の中には一度だってなかった。
もっと、恋人らしいこと、したいのになぁ……
らしい、って何だろう。
「お昼は、うどんでいいよな? 凛伽、好きだもんな」
「えっ? あ、うん」
嫌いじゃないけど、今はそういう気分じゃない。私の気持ち、聞いてくれないのかな。
いつもはご飯を食べていても、パスタを食べたくなる時もある。
笑っていても、泣きたくなることもある。
注文した山菜うどんを一口、口に含ませて私は箸を置いた。
最初のコメントを投稿しよう!