寄生虫

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夫のPCのパスワードは、車のナンバーで解除できた。 メールは、たいしたのがないな。 ほとんどが某大手通販モールからのもの。 さらにスクロールを続けると、見覚えのないSNSアカウント作成時の確認メールがあった。 他も探っていく。 ご丁寧にPC版のチャットアプリも開いたままになっていた。 全てのやりとりをスマホで撮影する。 のちのちスクリーンショットだけで、偽造だと騒がれてはたまらない。 このやりとりを見ているだけで、夫への気持ちなど消え失せた。 私が専業主婦になることを望んだのは夫の方だ、なのに「あんな寄生虫には興味がない。息子がいるから家族でいる」なんて女に送っている。 もう吐き気しか込み上げてこない。 夫はどこから資金を用意したのか、女との二重生活のためにマンション購入を計画しているようだ。 今まで家計の口座には、給料が振り込まれているので、給与明細を確認していなかった。それなりの額が会社から振り込まれているので、これが全てなのだと思っていた。明細を見せないのは、何か不都合があるのかもしれない。 昼間の時間はたっぷりある。 愛情の一欠片なんて、さっき吐き出してきた。 寄生虫は宿主の養分をたっぷりと頂くのよ。 氷の塊でも埋まっているように、胸の奥にあるしこりがあり、深く息が吸い込めないでいた。 目を閉じて、大きく吐き出す。 「さぁ、作らないと」 いつもと同じように夕食の支度を始めた。
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