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「アオくんは、ママとパパに笑顔をいっぱい届けてくれたよ。だから、ママもパパも笑えるようになったの、とっても幸せにしてくれているよ。それが、モモちゃんからのお願いだったなんて」
ママ、笑ってる?
泣いてるのに、笑ってる?
でも、このやさしいお顔、ボクね、はじめて見た時からずっとね。
「ママ……、大好き。パパも大好き」
このお家でよかった。ママとパパの子になってよかった。
もう一度、ママに抱きついたら、もっと強くギュッとしてくれた。
「ママもよ、もちろん、パパだって、アオくんのこと大好き。このお家に来てくれて、本当にありがとう、アオくん。モモちゃん、アオくんを連れてきてくれてありがとう」
ママはボクのホッペと、それからモモちゃんの写真にもチュウをした。
「モモちゃんはずっと、パパとママのこと心配してくれていたのかな?」
ボクを抱っこしたママが、窓を開けて空をながめる。
モモちゃんをさがしているみたい。
「ねえ、ママ、みて? すべり台があるよ」
「すべり台? 虹のこと? 絵本で見たことあるでしょう?」
「ちがうよ、あれは、すべり台なの。あっ、」
手の中にあるモモちゃんの写真は、茶色いくるくるの髪の毛でエクボの笑顔。
ボクの赤ちゃんのころにきっとそっくりだ。
もしかして、もしかして?
ボクは、すべり台にむかって、ここだよって手をふった。
ゆびきりげんまん、いつかまた――。
(おしまい)
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