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「どう? このお家、気に入ってくれたかな?」
もう一度のぞいたら、女の人が小さなぬいぐるみを、大事そうに抱きしめていた。
それを見ていた女の子のほっぺたが光って、ボクが気づいたら、あわててそれをぬぐって笑った。
「この家の子になったら、幸せになれるよ」
「……、本当?」
本当はもう、このお家がいいな、なんて思いはじめてる。
ぬいぐるみを抱きしめるみたいに、あの女の人にボクのことも抱っこしてほしいなって思ってしまった。
「約束する、君はぜったいに、まいにち楽しくて幸せになれるから」
約束と差し出してくれた小指に、ゆびきりげんまん。
「だから、君も約束して? ママとパパを笑わせて。あたしの分まで」
「君の分?」
「そう、モモちゃんの分まで、お願いね」
「モモちゃん?」
ニッコリ笑ったモモちゃんは、ボクの頭をいいこ、いいことなでてくれた。
それからまた雲の飛行機にのって、あの場所へと戻る。
モモちゃんに手をつながれてもうすぐの子たちが並んでいるすべり台の前まで行った。
行き先カードにはあの赤い家の人たちが書かれている。
もうすぐ会える。
ドキドキして、モモちゃんの手を少しだけ強くにぎったら、だいじょうぶとにぎりかえしてくれた。
「モモちゃんも、いつか来る?」
「わかんない。でも、あたしがもうすぐの子になったら、かならず行くから、まっててくれる?」
「うん、まってる。今度は一緒にあそぼうね。ブランコにのろうよ、おいかけっこや、ママに絵本をよんでもらおう?」
「それ、とってもいいかも」
ゆびきりげんまん、いつかまた。
バイバイって手をふって、モモちゃんはエクボの笑顔で、ボクをみおくってくれた。
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