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「おはよう、アオくん。今日も、お日さまが元気だよ」
やさしいママの声におこされて、ゆっくり目を開いたら、お日さまの光にビックリする。
まぶしくて目をとじたら、とつぜん思いだした。
「ねえ、ママ」
「なあに?」
「ボクが生まれた時もまぶしかったんだよ」
ママのお腹から出た時も、まぶしくてビックリして大声で泣いたことを思い出した。
「すごいねえ、アオくんは。もうすぐ三歳なのに、赤ちゃんだった時のこと、まだおぼえてるなんて」
ボクが赤ちゃんだったころのお話をすると、ママはとってもうれしそうだ。
ギュウッと抱っこしてくれたママからは、甘いおかしみたいな、とってもいいにおいがする。
――いいにおいがするの――
あれ?
だれがそう言ったんだっけ?
とおい空の上、ああ、そうだ。
「ママ、あのね。ボク、お空にいたこともあるんだよ」
「アオくんが?」
ママはふしぎそうにボクを見つめている。
思い出した、思い出しちゃったよ。
ボクは、大事な約束を、ずっと忘れていた。
ママの抱っこからぬけ出して、リビングに走った。
ごめんね、ごめんね、忘れててごめんね。
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