0人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうか許してください。」
そう言って下げた男の頭を、私は見下ろした。
はっきりいって、もううんざりなのだ。さっきから、許してくれ、許してくれって。鬱陶しいことこの上ない。
声も聞きたくないし、顔も見たくない男だ。
(この頭、踏みつけたら黙るかしら)
ふと思う。
右足のつま先を持ち上げたくなった。が、踏みとどまった。暴力沙汰にされないとも限らない。
こずるいことに関して、天才的な頭の回転のよさを見せる男だ。
ほんと、なんでこんな男の相手を、ほんのわずかでもしてしまったのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!