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あかつき草子さん「山桃に吹く風」
あかつき草子さんは、「なつき 泣き虫 七曲がり」で、ポプラ社ピュアラブ小説大賞の優秀作品、集英社ナツイチ小説大賞優秀作品に輝かれた実力派の作家さんです。そんなあかつきさんの「山桃に吹く風」のレビューを書かせていただきました。
軽やかな風が吹いてくる。苦しみも悲しみも溶かしこんだ軽やかな風が。
そんな気分にさせられる作品です。
女性にとって不妊は大きな悩みでしょう。男の私などにはとうてい理解できないものかも知れません。「赤ちゃんはまだ?」──孫の誕生を心待ちにしている義理の親が笑顔で発するこの一言。主人公・かや子の心はどんどん追い詰められていきます。彼女の精神は荒廃し「ねっとりと、重くぬるい風」が起こりはじめます。
この苦悩は、意外な出来事によって方向を変えます。
その後もかや子はさまざまに悩みます。その思いに寄り添うように吹くさまざまの風。
念願の第一子・悠花が生まれ、義母たちの力を借りてかや子は必死に子育てに取り組みます。義妹のみのりの言った「子どもがだんだん親にしてくれる」という、その言葉をかみしめながら。
そうして、悠花を授かったときの記念に植えた山桃の木が実らない理由に気づいたかや子は……。
風に託して主人公の心を描き出したこの作品は、作家の技量が並大抵のものではないことを感じさせます。
ぜひご一読を。
「山桃に吹く風」
https://estar.jp/novels/25700479
「なつき 泣き虫 七曲がり」
https://estar.jp/novels/25193024
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