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小学5年のクラス替えで、初めてミカンと同じクラスになった。
ミカンはクラスの誰より背が高く、髪が長く、成績は飛び抜けて優秀で、両親は医者で、金持ちで、絵がうまく、歌も書道も得意で、その割に出しゃばったりせず、いつも控えめで落ち着いていた。
僕はレモ。
僕は誰より背が低く、痩せていて、成績は普通、両親は小さな工房でウッドクラフトを細々と作っていて、貧乏で、得意なことは何もない。
そんな僕とミカンは、たまたま席が隣りだった。
背が一番高い女子の隣りに、背が一番低い男子を座らせるなんて、先生は意地悪だ。
「何で僕の隣りがミカンなんですか?」
始業式の日、僕は不愉快過ぎて先生に質問した。
「出席番号順に並べただけだ」
先生は意外そうな顔で僕を見て答えた。
先生はさらに、僕にこう言った。
「どんな偶然の出会いにも、意味があるらしいよ。偶然というのは、神さまが選んでくれたという意味さ。神さまは、きっと、何か考えてるんだろうな。あははは。もし、神さまの考えてること、わかったら僕にも教えて」
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