第8章 あの人の最高の玩具

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だけど、わたしに痛い思いとか嫌な気持ちにさせるな。絶対に気持ちよくさせて病みつきにさせて、これなしじゃいられない身体にしろ(それは。ちょっと…)と参加してる男たちをいつも口が酸っぱくなるほど念入りに注意してるし。 素直に感じてるだりあが好きだよ、ここでしてるときは恥ずかしさなんて忘れて。自分を手放して思いきり淫らに愉しんでくれた方が俺は嬉しい、と何度も説くように言われたので、いつまでもがちがちに緊張して身体を縮めてるわけにはいかなくなってきた。 これを気持ちいい、好きって感じなきゃいけないんだ。そうした方が彼も、参加してる人たちも喜ぶ。 必然性については内心やっぱりまだ疑問があったけど、そのことだけは事実な気がした。この人たちはわたしに恐怖で泣き叫んだり、死んだような顔して硬直して耐えていて欲しいんじゃない。 彼らにされて、快感を抑えられずに反応したり羞恥で身を捩らせながらも気持ち良さに抵抗できずにびくびくといきまくって欲しいんだ。 本当にだりあちゃんはエッチでいやらしい身体でしょうがないなぁ、とか口ではこぼしながらも。わたしが快楽に溺れて自分からもっともっと、と求めてくる方が。多分罪悪感とか気後れを感じなくて済む。 むしろみんなでこの子を悦ばせてやってるんだ。これが好きでたまらないみたいだから俺たちが奉仕してやってるんだ。みたいな感じになってきて、他人の評価に影響されやすいわたしはだんだんぼんやりとそうかな…、って気になってきた。 それに、いつもこれが終わったあと彼はいつになくわたしに甘くなる。 正直なところわたしたちの付き合いも高校一年の頃からだから、最近はちょっとマンネリ化していた。セックスも昔に較べるとだいぶ間遠で淡白で、せっかく一人暮らしになったのにあまり部屋にも来てくれてないし。 だけど、これの最後にみんなの後でしてくれる時は。以前みたいに激しくて熱っぽくて優しい。終わったあとにちゃんと抱きしめて甘いキスもしてくれるし…。 そんなこんなで、わたしはゆっくりと彼とその取り巻きの人たちに感化されて。これは別に嫌なことじゃないんだ、陽くんにも友達にもわたしにも必要なことなんだ。これがベストなやり方に違いない、と次第に信じ込まされるようになってきていた。男の人たちには評判よくて、自分も何とかして参加したい。っていう人たちが引きも切らないみたいだし。 それに、わたしの方だって。全く何から何までまるで気持ちよくない、全部ひたすらただ我慢してるだけってわけでもない。みんなに解されて快楽に馴らされた身体で最後に陽くんとするときはいつも、めちゃくちゃにいいし。 …それだけじゃなく。よく知らない人たちに抑えつけられて卑猥な言葉をかけられながらたくさんの手で、いろいろと。弄られて遊ばれて、絶え間なく次々と。中に押し込まれてるときだって…。 …今さっきのプレイがぼんやりと脳裏を漂うように思い出されて、ベッドに重たい身体を横たえながらじんわりとあそこが火照ってきた。 まだ奥の方や表面の感じやすいところに、燠火みたいに快楽の余韻が残ってる。…あんなにめちゃくちゃに何度も挿れられて、数えきれないほどいったのに。 まだ何となくもの足りない思いでそこを疼かせている、なんて。…あたしって、本当に。みんなの言う通り。…淫乱…。 「…何だ。まだ足りないのか、物欲しそうな顔して」 男たちはもう帰ったあと。明日も仕事あるし、早くシャワー浴びて彼に家まで送ってもらわなきゃ。と頭では思うけど身体がなかなか動かないでいると呆れたように彼が声をかけてきた。 ベッドがぎし、と重く軋んで彼がわたしのそばに身体を寄せてきたのが見なくてもわかる。 「しょうがないな、お前は淫乱で…。みんな帰っちゃったから。俺でやらせてやるよ。今勃ってないからしゃぶって自分で勃たせろ」 わたしの頭をぐい、と持ち上げて自分の膝元に持って来ようとする。 「…硬くなったら自分で跨って腰遣え。俺は疲れてるから。ちゃんと最後までいかせろよ。中途半端はすんな」 「はい」 疑問は持たずに従順に柔らかくなったそれを口に含む。どう考えてもわたしの方が彼よりくたくたなのに、なんて絶対に考えない。 だって、彼はもうしたくもないのにわたしのために付き合ってくれてるんだ。わたしが救いようのない並外れた淫乱だから。 彼の愛おしいそれをいっぱいに口の中に頬張って舌を遣ったり吸ったりしていると、じわりと大きくなってきた。それを感じると。…なんか、自然と。また濡れてきちゃう…。 こんなわたしを満足させるには、やっぱりあんな方法しかないのかもしれない。それはここでみんなを従える力のあるこの人にしかできないこと。 そう考えたらわたしには陽くんしかあり得ないんだな。と自分に言い聞かせながら、わたしは股間をじっとりと濡らしながら夢中で舌を動かして、彼に何とか気持ちよくなってもらおうと必死の努力を続けた。 彼との関係っていうだけの話ならこれはこれでよかったのかもしれない。でも実際問題として、二人以外のエキストラとしてこの件に複数の生身の男たちが参加している。その事実を深く考えずに流していると、時折足許を救われることがあった。
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