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青の部屋
しばらくして目を開けると、私は周囲が青色で統一された場所にいた。
本棚があり長机もある。図書館、なのだろう。しかし、さっきいた図書館とは雰囲気が違う気がする。静まり返っていて薄気味悪い雰囲気だ。
さっき手に取ろうとした本はどこにも無かった。どうすればいいのだろう?とにかく、ここから出ないと…。
突然、サラサラ…と音が聞こえた。
びっくりして音のする方向へ目を向けると、長机の上にメモ用紙が置いてある。
紙には、さっき見た藍色と同じインクで文字が書いてあった。
“この世界から出たいの?
それなら、右の突き当たりの部屋においで。取っておきの物、あげる”
示された通りに右を向くと、確かに突き当たりにドアがあるのが分かった。
突き当たりのドアに行くと、丸くて低いアンティーク調の机がぽつんと置いてあった。そこには白いローマンヒヤシンスが1輪、花瓶に活けられている。
白いヒヤシンスは、花が7個付いている。とても可愛らしい。
さっきのメモに書いてあった取っておきのもの、とはこの花のことかもしれない。
壁を見ると、貼り紙があった。
『その花は、散らしてはいけない。枯らしてもいけない。もし、このルールを破ったら身も心も無くなる。』
よく意味がわからないが、この花を散らさず枯れることのないようにしようと思った。
机をドアの横に移動させ、青色のドアを開いた。
中に入ると、丸テーブルの上に黄色の鍵があり、その横に蝋燭がある。10匹の小さな青色の蝶が蝋燭の明かりに集まっているのが見える。
机上には、蝋燭があり10匹の青色の蝶が舞っている絵が描かれた本が置いてある。
まさに今見ている光景と一緒だ。
本のタイトルは『光を求めて』と書かれている。
黄色の鍵は、蝋燭の明かりに照らされて、キラキラと輝いている。
(黄色の鍵を取ったら、どこかの部屋に通じているかもしれない)
そう考えて鍵を左手で手に取った、その時だった。
(え!?)
さっきまで、蝋燭の明かりに集まっていた青い蝶が顔中を覆い隠して襲ってきた。
必死に蝶を払いながら鍵を持ってドアを閉めた。
息を切らしながらドアにもたれ掛かる。少し、息苦しい。
(危なかった…)
左手に持った鍵をポケットに入れ、右手に持ったヒヤシンスを見る。
7個あるうちの、1個の花が散ってしまっている。だから、息苦しかったのかもしれない。
横のテーブルに置いてある花瓶を見るとまだ水が入っている。
花瓶に花を活けると、散ってしまった場所に花が咲いた。それと同時に息苦しさが無くなった。
真っ直ぐに伸びる通路に目を向けると、突き当たりに黄色のドアがあるのが分かった。
突き当たりまで歩き、黄色の鍵を取りだしてドアを開けた。
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