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薔薇やラベンダーなどが咲き誇る道を抜け、庭の奥まで歩く。
テーブルに近づくと、羊皮紙が置かれていた。
『家の鍵は、真っ直ぐ進んだ奥にある静かに眠る少女の傍に』
紙には筆記体でそう書かれている。
「シェリア。奥、行ってみるか?」
「うん。鍵を開けないと先に進めないから」
「分かった。行こうか」
2人1緒に道を真っ直ぐ進み、庭の奥にたどり着いた。
さっきまで歩いてきた道とは違い、日陰が多く空気が冷えている感覚がする。行き止まりになっていて突き当たりに何かがある。
近づくと、プレート型の墓石がひっそりと佇んでいる。墓石には、十字架が刻まれ亡くなった人物の氏名、生没年、言葉が刻まれていた。
『✝
Michaela Charlotte Wiselee (1888~1898)
愛しき彼女は、幼くして神のもとへ旅立った。』
墓の前には、白ユリの花が添えられている。
墓石の右隣を見ると、茶色の鍵が傍にあるのに気づいた。
墓石を眺めて何やら考えているマークのジップパーカーの袖を引っ張って、彼に知らせた。
「本当だ、鍵がある!よく見つけたな!」
「これで家の中に入れるね」
「たしかに。見つけてくれてありがとう!」
彼は笑って頭を撫でてくれた。マークの笑顔が嬉しくて、笑い返した。
鍵を手に取って庭を抜け、家のドアの前に立った。
ドアに鍵を差し込み、回すと鍵が開く音がした。
ドアノブを回してドアを開けた。
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