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『ミカエラは、9歳になった春に14歳のパトリックが彼の友人であるチャールズを家に招待した時に庭で出会った。ミカエラは人見知りであったことから、最初チャールズを警戒していたが次第に彼の穏やかで癒すような慈しみと相手を受け容れる包容力が垣間見える行動や言動に心を開いていった。
たとえ、チャールズの家系が軍関連で幼い頃から父親から騎士道精神を叩き込まれてきたことが起因していたとしても、彼は周りの人間から誠実で意志が強い性格の持ち主と言われていた。
ミカエラは、チャールズと会話をする中で胸がときめくのを感じ、恋をしていることを初めて実感した。ミカエラは、10歳の夏に彼に手紙を書いて想いを打ち明けるが、彼女は返事をもらう前に海で溺れて亡くなってしまった。
ミカエラの訃報を知ったチャールズは、彼女の写真と彼自身の写真を1枚ずつ保管するとペンダントの専門店で銀色のロケットペンダントを特注で2つ各自の名前入りで作ってもらい、ミカエラの名前が入ったペンダントには自分の写真、チャールズの名前が入ったペンダントには彼女の写真を入れ、納棺する時に彼女の首にミカエラの名前が入ったペンダントを掛けたらしい。
メッセージカードに『貴女のことは忘れない』と一言添えて。
チャールズは、その後、18歳でパブリックスクールを卒業し、陸軍に所属して第一次世界大戦中に開発された毒ガスによって23歳の若さで亡くなった。彼は軍に所属してもなお、ロケットペンダントを持ち歩き愛用していたと戦友は語っている。』
お互いに黙読して読み終えると、書斎に沈黙が下りた。ワイズリーの妹のミカエラの過去が詳細に掲載された本を読んだことでスタラリーが誕生した理由を知ることができた。
もし、ミカエラが10歳で亡くなることがなければチャールズから返事をもらい、一緒に穏やかな時間を過ごすことができたのかもしれない。
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