Hide and Seek

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Hide and Seek

ダイニングルームに向かうと、テーブルの上に紙が置いてあった。 手に取るとそこには『2階の部屋の鍵は地下室にあるよ』と親切な言葉が書かれていた。 「親切に書かれすぎて、あるかどうか怪しいんだが…本当にあるのか?」 マークは疑わしげに眉を顰めている。 彼の言うとおり、なんだか怪しい気がする。ここは慎重に行動した方が良さそうだ。 「何があるか分からないから周りに気をつけて行ってみようよ」 「そうだな。地下室に行ってみようか」 そうはいっても、地下室がどこにあるのかが全く分からない。 仕方なく、ダイニングルームを調べることにした。絨毯の下をめくろうとしたが家具が重くて持ち上がらない。ダイニングルームの奥にはキッチンがあった。そちらに向かうが床下のようなものは見つからなかった。 ダイニングルームを隅々まで調べたが、地下室といえるようなものはどこにもなかった。 ダイニングルームを出て、階段の下を通ると裏口のドアへ続く通路に出た。裏口のドアを開けるとおそらく庭に出ることができるのだろう。 そのことを考えると、ワイズリー家は裕福な家庭だったのかもしれない。広い庭に加えて2階建ての家を持っていたのだから。 考え事をしながら通路を歩いていると、クリーム色の壁に白いドアが取り付けられているのが見えた。 白いドアの前に立ってドアノブを回す。 中を覗くと、壁と床だけの部屋が現れた。床を見ると、人が1人入れるくらいの狭くて四角い木の板が嵌められていて、それには真鍮の取っ手が付いている。 地下室の入口だと思われる。やっと見つけることができた。 マークが驚いた声をあげる。 「あれが地下室の入口なのか…?」 「たぶん。板、外してみるね」 「解った。気をつけて」 「うん、ありがとう」 取っ手を握って板を外して床に置くと、階段が中へと続いていた。地下室の中は明かりがないのか真っ暗だ。 ランタンか蝋燭などの明かりがあったら安心なのにと、ふと思った。 「これじゃあ足元が分かりづらくて危ないな。明かりになるようなもの探してくるよ」 マークはそう言うと、来た道を戻っていった。
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