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目の前の神竜はすっかり意気消沈している。だが、実のところこの現状に安心している俺がいた。こいつがリンファの求める『普通』にならない限り、リンファはハクレイと一緒にならないのだから。
そこまで考えて、なんてことを考えてるんだと頭を抱える。これじゃあ人の不幸を祝うひどい奴じゃないか。
「まあどこの馬の骨ともわからん奴にリンファはやれねえしな!! 諦めな!!」
そう宣言すると、横でスイレンがじとーっとした目つきで俺を見ていた。俺自身痛い奴だと言う自覚はある。しかし、俺も奴を牽制しなければいけない理由がある。
スイレンは結った黒髪を撫でながら、「まあ、リオウくんはリンファの幼馴染だしね……どちらかと言うとお兄さんって感じだし、お父さんぶるのもまあわからないでもないかな」と冷静に分析している。お父さんぶってはいないが?
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