リンファの幼馴染

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「ぬおお……! 我はもう一度リンファのところへ行くぞ!」 「いってらっしゃい。報告楽しみにしてるね」  スイレンが声をかける間も無く、ふわりとハクレイは浮き上がる。ふと思い出すハクレイとリンファの出会いのシーン。また聞きだけどあいつは足を怪我していたらしい。しかし、神通力があれば飛んで山に帰ることもできたのでは?と考えてしまう。  まあ、おれもそうだったからわかるが、そんなことも忘れてしまうんだよな、恋した瞬間ってやつは。 「あ、リオウにスイレン。……リオウは何後方兄貴面でうんうん頷いてるの?」 「後方兄貴面!?」  そんな失礼なことを言ったこの少年はシュリエ・ローウェン。色素の薄い紫苑色の髪に、宝石のような赤い瞳を持つ少年だ。丁度リンファとハクレイが出会った頃に村に流れ着いてそのまま住み着いたんだったか。  この村によそ者が住むのも珍しいのだが、こいつは持ち前のぽわぽわムードで村の大人たちから可愛がられ、子供たちの遊び相手になっている。  ただ、何故か、本当に何故かハクレイや俺にはあたりが強い。本当に何故なのかわからないがかなり辛辣で嫌われているのではないかと密かに思っている。 「今日はシュリエくん、お散歩?」 「うん、リンファの家にいこうかなって。お昼に生姜焼きを作ってもらう約束をしてるんだ」  リンファの生姜焼きだと!? つーかリンファに昼飯をたかるな!! 「ちゃんと材料費出してるよ」  時が止まったような感覚を覚える。こいつと話してるとこう言うことが多い。心を読まれると言うか、それだけ表情に出ているのだろうか。俺ってそんなにわかりやすい?
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