みんなで一緒に

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「リンファの料理って本当に美味しいー! 誰かに教わったりしたの?」  シュリエはそういって生姜焼きを一口齧る。喜んでくれるのは嬉しい。私の料理は誰かを喜ばせるためのものだから。リオウのおじいちゃんに教わったり、自分で勉強したりして身につけたものだ。 「昔はじいちゃんよく泡吹いて倒れてたもんな〜、よくこれだけうまいものをイダダダダ」  余計なことを言ったリオウの耳を引っ張る。シュリエは少しバツが悪そうな顔をして笑っていた。 「今はちゃんとうまいって!! むしろそれが普通になってめちゃくちゃうまいって! 普通!」  リオウは私を誉める時に普通という言葉を使う。少し文脈がおかしくても、これは昔からだ。でも、私はそんな変な文脈で使われた『普通』でも嬉しくなってしまう。 「リンファちょっと嬉しそう……普通だから?」 「ふむ、リンファは普通と言われると嬉しいのか? どんなことでも」 「そ、そうね。そうかも……」  ハクレイに言われてハッとする。ただ単に上手と言われるより、自分が普通だと言われた方がなんだか安心することに。それは少しおかしなことかもしれない、という自覚はある。普通じゃない自覚は。
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