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「まってまって!!というかなんでリオウもハクレイを止めないのよ!普通じゃない、普通じゃないわ!」
「おち、落ち着けリンファ! ……俺はその……お前の巫女服似合うだろうなあ、って」
「巫女なんて普通じゃないでしょう!? 私は平凡に生きたいの!」
リオウもなんてこと言うのかしら、とシュリエの方を見れば、彼は彼でなんとも言えない笑みを浮かべている。
「何よシュリエ」
「いやー、リンファが巫女、おもしろくていいなあって」
どうやら私に味方はいないらしい。そんなことをしている間に、ハクレイは口元を押さえて何やらぶつぶつ言って――
まさか。
まさか、と思った時にはもう遅く。
『おい聞こえるか村の者共よ。今年の神竜祭の巫女はリンファ、リンファじゃ。我は神竜、ハクレイである』
頭に直接響くような声。私にもはっきり聞こえた。って言うかこれもしかして村の人全員に聞こえてない? やばい、それだったらどうしよう、恥ずかしすぎる。
「ねえ、ハクレイ。この声って――」
「村の者全員に聞こえてるが」
「なんってことしてくれてんのよこのバカ!!!!!バカ神竜!!!」
「馬鹿とはなんじゃ!!!」
ハクレイも負けじと言い返してきたが、私も恥ずかしさと普通じゃないことへの狭間で正気ではなかった。
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