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そうだ、別にあんな奴のために踊るのではない。私を育ててくれたリオウのおじいちゃんのために踊るのだ。これなら全然普通。とても普通だ。私は非日常から普通を摂取し、少し気分が楽になった。
「お、立ち直ったみたいね非日常アレルギー」
「人のことを変な病気みたいに言わないでスイレン」
スイレンはくすくすと笑いながら、「生姜焼き、あやかりにきました」とニコニコ笑う。私は分けておいた生姜焼きを皿に盛るとラップをしてスイレンに手渡した。
「これだけしかないんだけれど」
「一人暮らしには十分よ、それにリンファの手料理、おいしいもの」
スイレンはそう言って笑顔を見せる。ああ、なんだか少し安心した。次期巫女候補はスイレンだってみんな言っていたし、スイレンだって少し思うところがあるのではないかと思っていたから。
「いやー、実に面白そうだねえ。楽しみだなあ、リンファの舞」
今まで黙っていたシュリエがそう口を開く。面白がるんじゃない。リオウはリオウで何かを思案したようにぼーっとしてるし。
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