普通を愛する少女と神竜

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 そいつは今日も私の家の扉を叩く。 いや、叩くというよりは……。 「リンファー!! 我が遊びにきてやったぞ!!」  ドーンと音を立てて破壊される引き戸。引き戸だと言ってあった筈だ。引き戸を押すな。ああ、平和が乱されていく。私の愛する普通が、普通が。 「未来の旦那が来てやったというのだ、とても嬉しいだろう!?」  長い銀髪。角。鋭い赤い瞳。竜の尻尾。口元を隠すベールに、ギザギザとしたサメのような歯。どこをどうみても普通ではないこの男。  自称神竜であり――いや本当にそうなのだろう。神通力というわけのわからない普通じゃない力を使うし、わけのわからない道具も持ってるし、わけのわからないことも言うし。普通ではない。  その前に奴に浴びせたい罵声がある。 私は大きく息を吸い込んで、こう言った。 「ドアを壊すなバカ神竜!!!!」
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