神竜の日常

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 いつもの寝床――博麗山の神社で目が覚める。神竜の朝は早い。なにしろ、待ち人に会わなければならないからだ。待ち人が本当に待っているかは別として、着替えや朝支度を済ませ、ついでにお供えされた餅を一つ取り、食べながら飛行する。忘れては行けないアレを持って。  今日はどんな顔を見せてくれるのだろうか。そんな気持ちに胸躍らせながら、彼は麓の村へと急いだ。  今日も愛しいあの人を嫁にするため、考えを巡らせる。今日はどんなサプライズをしようか、と。それが嫌われる原因だともわからずに、彼は飛ぶ。 「む、あれはリンファ――」 「リンファ、おはよう」  愛しいあの人の後ろ姿を見つけ、その頭上から逆さに顔を出す。驚いた彼女の顔と、横にいたスイレンの「ちょっと離れとこ」という笑み混じりの声とほぼ同時に「普通に登場しなさいよ!!」と正拳突きが綺麗に顔面に入った。
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