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「まったく、ひどいではないかリンファ」
「びっくりさせたハクレイさんにも問題がありますねえ」
謎口調になっているスイレンを横に、神竜は鼻のあたりをおさえながら「むう、我は神竜ぞ? 殴ることはないだろう」と抗議する。目の前の少女は「あの角度からの挨拶は普通じゃないってば……」と半ば非日常アレルギーを発症しているようだ。
「リンファ、今日こそ嫁に――」
「なりません」
最後まで言わせてもらえず否定される。だがこれも日常である。神竜は諦めない。どんな手を使ってでも、とまでは言わないが。リンファが泣くようなことはしないようにはしている。
「で?ハクレイさん、今日はリンファにどんなご用事?」
「うむ、先日の生姜焼きの礼にだな、笹団子を作ってきたのだ」
「ふ、普通ね? というかアンタ料理できたの?」
「ふふふ、我は笹団子しか作れん!!」
「威張ったようにいうな! ま、まあ、ありがたく受け取るわ。別にお礼なんていいのに……変なところで律儀ね」
我を崇めよ状態に入っている神竜に、リンファとスイレンは呆れながらも笑みを浮かべるのだった。
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