普通を愛する少女と神竜

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「むう、ドアの開け方一つ二つでガミガミとなんじゃ」  私の家の玄関のドアを破壊した奴はそう言ってぶすっと頬を膨らませた。言いたいことはもう一つある。だがその前にドアを直してもらう必要がある。このままだと私の家まで丸見えの普通じゃない家になってしまうじゃないか。 「いいからドア直して。工具渡すから早く直してほら!!あ、木材なら蔵にあるからね!!」  そう私が怒りつつ工具を渡すと、目の前の神竜はきょとんとして渡された工具を見つめ、飲み込み、理解して。 「こんなものなくても直せる。そら、」  そら、とドアに手をかざすと壊れたドアが勝手にくっつき、つなぎ目も元通り。ついでに家の玄関にピッタリハマった。普通じゃない。 「どうだ?惚れ直したか? いつでも嫁にきたいと言って良いのだぞ?」  得意げに私の肩に手を置く彼に、私は震える。もちろん感激などではない。怒りだ。怒りと普通ではない事象への反発が震えとなって表れている。 「はっはっは、さてリンファ、今日は何を――」 「帰れーーーーっっ!!!!!!!!」  そう叫んで彼を引きずり家の外に放り投げてドアをピシャリと閉める。彼は何やら呆然とした表情をしていたが私はそれどころではない。守らねばいけない。  そうしないと、私が愛する普通ではなくなってしまうから。
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