夏子さんのおっぱい

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 保育園の先輩であり、おっぱいレンタルドットコムの紹介者である夏子さんには何としてもしあわせになってもらいたい。彼女は結婚して、良人に愛してもらって、子供を生んで、家庭を営むことにしあわせを求めたのだ。それは、絶対母親にはなりたくない私とは正反対の道だ。道は違っても、彼女の選択を心から祝福してあげたい。 「きっと、お相手の方、しあわせですね。だって……」  視線がまた二つの膨らみに落ちる。 「ちょ、ちょっと……」夏子さんは両手で胸を覆った。「おっぱいだけで女のしあわせが決まるものでもないし……」  顔が赤いのはワインのせいだろうか、それともはにかんでいるのだろうか。かわいい、と思った。  そう、頼りがいのある夏子先輩を、今日は「かわいい」と思ってしまったのだ。それが今夜の私の行動を方向付けることになるとは……。 「でも、夏子さんのおっぱい、しあわせがたくさん詰まっていそうですよ」  彼女は、ふふふ、と上品に笑ってグラスに口をつけた。  夏子さんの微笑。──卑屈な私には絶対まねできないあの上品な微笑こそ、彼女がすでに私の手の届かないずーとずーと高みにいる証拠だ。  私たちはひとしきり、お見合いの時のエピソードや相手の男性の話で盛り上がった。 「へえー。じゃ、『広本夏子さん』が『田中夏子さん』になるんですね……。なんかいまいちしっくりこないなあ~」 「私もしっくり来てないんだから、美彩ちゃんは当然よ。ふふふふ……」 「で、どうですか? 3年間預けて、何か変わりましたか?」  話題をおっぱいレンタルに戻す。 「施術室で自分のおっぱいをつけてもらった瞬間からわかったわ。ほんとうに愛をふんだんに受けて来たんだなって。ほら、触ってみて。この丸み! この重さ! この張り!」  そう言って、ニットを大胆に首から抜く仕草はかなり酔っている。首も肩も鎖骨のあたりもしっとりと桜色に染まっている。セクシーだ。  まっ白なブラが顔を出す。「こっちにきなさいよ」と、手招きする。私を隣に座らせ、手を取って乳房に導いた。触らせたくてしょうがないようだ。  カップの上からおそるおそる指を押し込んでみる。充満感に唖然とする。 「パンパンに詰まってるみたい……」 「でしょ?」    揉んでみる。指を跳ね返すような弾力。繊維がとても密だ。両手で揉み続ける私。ゆっくりゆっくり、おいしいものを噛みしめるように。揉めば揉むほど味が出る。こっちもうっとり気持ちよくなってくる。 「じかに触ってみる?」  夏子さんはすでに目を潤ませている。触りたい。でも、「はい」の一言が口から出てこない。だって、先輩だし……、先輩の大事なところだし……、帰って来たばかりのホカホカのおっぱいだし……。
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