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「こら、ミア!」
ぎくりとなる。テーブルが揺れてフォークが皿からずれ落ちた。
「ミア! 迷子ちゃん! イエスなの、ノーなの? はっきり意思表示しないのがあなたの悪い癖。さあ、思ったとおり言ってごらん。触りたい? 触りたくない?」
私はふっと腹に力を入れ息をつめた。本当は触りたくてしょうがない。じかに触りたい。弄り回したい……。だって、今日の夏子さんかわいいし、セクシーだし……。でも、言えない……。でも……、言わなきゃ。がんばって言わなきゃ。
あまりにも力んだから、喉の奥がしびれた。意思は何とか言葉の衣装をまとうことに成功した。
「さ、さ……、さわりた、いです……。じか、に……」
やっと言えた。思いを伝えられた。したいことをしたいと言えた。これは私にとってすごいことなのだ。高みにいる先輩に一歩近づいた気がする。よし。もう一度はっきり言ってみよう。喉の力を抜いて、リラックスして。
「夏子先輩の、おっぱいを、じかに、触り、たいです!」
涼しい風がスーっと総身を吹き抜ける。髪の毛がさわーっとなびく。
「よし! よく言えたね、美彩!」
まん丸のおっぱいがまろび出る。ふくよかなおっぱいを、うりうり、と見せつけて来る。ミルクを溶かしたような柔らかな乳肌。青い血管が透けて生々しい。くっきりと栗色の輪郭を描いた乳輪。そのうえにちょこんと乗った乳首がかわいい。乳輪より赤みを帯びて感度がよさそう。ソープの香りに女の体臭がうっすら混じっている。
上半身裸の先輩にからだを寄せる。背中に片腕を回す。
じっと見る。──乳首が斜め上を向き、大胆な丸みを下乳がしっかりと支えている。
揉んでみる。──指が乳肉に溶け込むような触感。溶け込んだと思うもつかの間、密な繊維が指を跳ね返してくる。
すくい上げてみる。──丸みを崩さない確かな重みが押し返してくる。
乳首をつまんでみる。──しこしこしている。固めのうどんみたいに。奥歯で噛みしめたい欲望にかられる。
夏子さんの乳房は見られるために、揉まれるために、突かれるために存在しているとの確信に至った。
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