夏子さんのおっぱい

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 そう。誓って言う。夏子さんの胸に手を乗せてあげたのは、彼女に本当に、本当に、休んでもらおうと思ってのことだった。興奮状態に陥った子どもを落ち着かせるときそうやるのだと習った。でも、子どもと違って乳首が大きいから、それを指と指の間に挟むかたちになってしまっただけだ。  その瞬間だった。 「はああああ!」  ピンク色に紅潮した身体がみるみる反り返って行く。下半身からは、ちゅぱっ、ちゅぱっ、と盛んに粘りを帯びた水音が聞こえる。  本当に、心から誓って言うのだけど、その時私が彼女の乳房を握り締めたのは、反り返る彼女の身体を押さえつけるためだった。左右の乳首が指と指の間に挟まっていたけど、それが致命的な快感になっているなんて夢にも思わなかった。 「夏子さん、落ち着いてください! 私が調子に乗りすぎました。ごめんなさい!」  私は彼女の興奮を静めようと、左右の胸を撫でさすってやった。その時も結果的に真っ赤に充血し勃起した乳首をなぶってしまう結果になったのだけど、そんなことには無頓着の私だった。  本当に注意力散漫な私──。  その日は私が夏子さんをイジメてイジメてイジメ抜いた結果になった。その間、彼女は10回以上失神し、飛び散った体液で部屋中びしょびしょになった。ラグマットもソファークッションも一度クリーニングに出さなくては。 「美彩ちゃん……、これ、立派な殺人未遂だから……」  夜が白々と明けてくると、夏子さんは私の不感症のおっぱいを撫でさすりながら言った。 「本当に、死ぬところだったんだから。もっとも、こんな溢れるようなアクメの中で死ねるのなら本望だけど、私にはフィアンセがいるから……」  ふたりはしばらく熱く深いキスを交わし合った。女の人とキスするのは初めてだ。夏子さんのこと大好きだから、後悔はしない。 「本当に、殺されかかったわ……。あなたがおっぱい返してもらったら、絶対このフクシュウをしてやるから」  夏子さんに頬をなでられるとどうしてこんなにも平和な気分に浸れるのだろう。 「フクシュウって、予習復習の?」  柔らかくて暖かい胸の谷間に頬ずりをして言う。 「バカねえ、美彩は……」  夏子さんのトロンとした目は慈しみが溢れていた。お母さんには「ばか!」と(ののし)られた。同じ「ばか」なのに、夏子さんは溢れんばかりの愛を込めてくれる。 「仕返しをするってことよ。ニクたらしい美彩に……」  それから私たちは何度も何度もキスを重ねた。浅いキス、深いキス。思いやりのキス、自己本位のキス、残酷なキス……。その時強く噛まれたくちびるが今でも痛い。  一月後、広本夏子さんは韓国へ発った。
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