同棲

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「胸に触りたい……」  二人だけの部屋。腕枕で濃厚キスを許しているんだから、訊くまでもなくさっさと行動に移したらいいと思うのに、パジャマの裾から手を入れ、お臍のあたりをサワサワ撫でながら、その先を躊躇している。  その慎重さにギクッとくるものがあった。 ──おっぱいレンタルしたこと、彼は知っている?  できれば知られたくないことだった。  好きな女の子のおっぱいは男の子にとって聖域だ。誰にも触らせたくはないはず。それを私は顔も知らない人に貸している。必然、顔も素性も知らない男に見られ、触られ、吸われている。私だって竹田くんのオチンチンが知らない女の子のオマンコに飲み込まれていたとしたら、絶対イヤだ。 「あと、3か月だけ待って。お願い。そしたら思う存分触らせてあげるから」  契約満了まであと3か月。 「3か月も……。どうして?」  私をのぞき込む彼の瞳は微妙に揺れている。不信に動揺している目だ。 「お、女の子にはね……、えーと、ほら……、いろいろ複雑なことが……。わかってほしいの。説明、しないといけない、かなあ?」  わざと動揺したように言うと、 「いや、大丈夫だ。女の子は月経もあるし、からだの仕組みは複雑だからねえ」  妙に聞き分けがよくなり、食い込んできそうだった視線が、またたく間にふわっと解けた。  だが、彼は予想外の行動に出た。お臍のあたりをさまよっていた手が上ではなく、下に移動し、ショーツの上からビーナスの丘を掴んだのだ。 「うっ……、た、竹田くん……」  突然の快感に思わず腰をしゃくってしまう。しゃくった距離だけ、彼の女性的に長い中指が割れ目の形をなぞった。一瞬触れたクリトリスの刺激が強すぎて、はんっ、といやらしい声が漏れてしまったが、それっきり彼は手を引いてしまった。 「ごめんね」 「だ、大丈夫……」  乳房を迂回し、彼は性器の愛撫に移ったのだった。つまり、彼はのっぴきならぬ事情があるのは乳房だけと了解しているということだ。 ──知ってるんだ、やっぱり……。  確信を深めたところで、彼は私に優しく布団をかけてくれ、彼自身ももぞもぞと忍び込んできた。
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