同棲

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 同棲しながら、まだ私たちは最後の一線を乗り越えていなかった。だからといって竹田くんが性欲が弱いわけではない。昼寝をしている時、あるいは明け方彼を見ると、パジャマのズボンの前がピーンと張っている。恐いくらい大きい。男として一人前の性欲を彼はもっているのだ。  それでも彼は私に求めてこないのは、持ち前の勘の良さ(特殊な能力?)で何かを察知しているとしか考えられない。 「ひとつだけ……、ほんのひとつだけ、竹田くんに秘密にしていることがあるの。嫌われちゃうかもしれないけど、いつか、必ずお話しするからね」  布団の中で背中と背中を合わせて、私は言う。申し訳なくて彼の顔を見れない。 「じつはね……、僕の方からもキミに告白しなければならないことがあるんだ。これを言ったら嫌われるんじゃないかと思って恐ろしい。でも、いつか必ず言うから。たぶん、その日はもうすぐだと……」  秘密があるなんて、竹田くんも悪い子だ。悪い子どうし相性がいいと思う。だから、たぶん、私は彼を赦せると思う。竹田くんは私を赦してくれるだろうか。他人に揉まれたおっぱいを受け入れてくれるだろうか。  私は寝返りを打って背中から彼に抱き着く。 「(たま)まってるんだよね? 手で……やってあげようか?」  と静かに提案する。 「いや……。美彩ちゃんも理由があって我慢していると思う。僕も、一緒に我慢するから」  でも、その日はやっぱりかなりらしい。寝ていると、トイレから「うぐ……」と、ジャングルの獣が唸るような声が聞こえたのを意識の片隅で覚えている。
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