竹田くんの告白、そして赦し

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「だから僕の罪は、まず第一に、キミのおっぱいを愛撫しながら、下半身では別のオンナと交わっていたということ。第二に、キミの生い立ちから性生活まで、キミに関する情報を不法に収集したということ。そして第三に、僕とおっぱいレンタルとのかかわりをずっと隠していたこと……」  竹田くんの話し方は論文発表でもするように四角四面だった。もっといくらでも自分の犯した罪を羅列する用意があるようにも見えた。 「第一の罪だけ……」 「え?」  竹田くんは土下座の姿勢を保ちながら顔だけ上げた。意外と冷静な顔をしていた。 「ほかの罪は赦してあげる。だって、私のことが好きで、私に近づきたくて、私に嫌われたくなくて犯した罪だから。でも、第一の罪だけは……」 「……」 「絶対……赦せない」  私は(すご)んだ。竹田くんは上体を起こし、正座の姿勢になった。 「私のおっぱい揉みながら、ほかの女の子と交わるなんて、ゼッタイ……」 「……」  竹田君はガクリと肩を落とした。目が真っ赤だ。 「上では私のおっぱいをいじくりまわす。下ではちがう女の子のオマンコ……。それって時間差なしの浮気じゃない? 私の目の前でほかのオンナとセックスするのと同じじゃない? 赦せないよそんなの!」 「本当に悪かった。オレはどうしようもない身勝手な男だと思う。キミを傷つけたこと心から詫びるよ。赦してもらえないのなら、僕は潔く……キミのもとから……」  涙がひと粒、膝に落ちた。彼は男泣きに泣いていた。そんなに泣くことはないと思う。だって、大部分のオトコは開き直って、じゃあな、と手を振って出ていくものだから。私が生まれる前に父はそうだったと聞いているし、母だって結局は出て行ったんだから。
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