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その時、私と夏子さんの膝がテーブルの下でコツンとぶつかった。いや、夏子さんがぶつけて来たのだ。彼女の目が異様にねっとりしている。夏子さんの「おっぱい記念日」に起こったことが思い出される。そう──私たちはそういう関係なのだ。
──ちょっとまずいことになるかも……。
私はそっと膝を引く。
「美彩って、本当に綺麗になったよね」
私は頬に夏子さんの柔らかい手のひらを感じている。くつぐったくて上体をよじる
「やっぱり竹田くんに愛されているから? 女性ホルモン全開だったりして……」
「いやだ、夏子さん……」
また、顔が火照って来る。無意識に両脚をぐっと閉じる。昨夜の激しい竹田くんがまだそこに潜んでいて、夏子さんにばれてしまうような気がしたから。
「羨ましいわ」
「え……?」
私は首をかしげる。
「レスなのよ、主人と私……」
「レス……」
そうか、セックスレスのことかと思い至る。まだ28歳なのに、夏子さん。かわいそう……。
夏子さんが立ち上がり、私の後ろに回って来る。
背後から抱きしめられた。薄っすらと香水の香りが鼻孔をかすめる。お腹に回された両手が少しずつ這い上がってくる。
「……んっ!」
両胸を覆われた。突然のことだったから面喰った。
「大きくなったみたいね。美彩ちゃんの……。私とのこと、覚えていてくれた?」
夏子さんの「おっぱい記念日」のことだ。忘れるはずがない。ふたりで愛を確認したのだから。
ワンピースの前ボタンが二つ外された。夏子さんの指がブラの上辺から忍び込んで来る。
「こ、こんなところで……。あっ……」
決して接客室に聞こえてはならない。慌てて口もとに手を当てる。
「美彩……、覚えているかしら?」
「な、なにを……、うっ……」
私は片手で夏子さんの動き回る手を押さえ、もう片手で声が漏れそうな口をふさぐ。
「フ・ク・シュ・ウ……」
「はい、覚え、て……、あはっ……」
ダメだ。毎夜毎夜竹田くんに愛され続けた女体は、二十四時間活性化されている。愛撫は無条件に受け入れ敏感に反応するカラダになっている。
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