フ・ク・シュ・ウ

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 乳房を優しく包まれ揉まれる。女どうし感じやすいところはよく心得ている。乳首をコリコリとしごかれ、喘ぎ声が漏れてしまう。夏子さんがテーブルのコーヒーカップを流し台に移した。私はテーブルに臥せる格好になる。声を押さえるために、そして快感をやり過ごすために自分の手を噛む。  接客室から漏れ聞こえる濁声が一層大きくなる。 「じゃあ、異人種間でのおっぱいレンタルも難しいってことなのか……?」 どうやら話題は日本人と韓国人間のレンタルに及んでいるようだ。 「いや、難しいのでなく、慎重であるべきだということなんです」  文節と文節の間を区切り、相手の理解度を確認しながら話を進める竹田くんが続ける。 「たしかに日本人と韓国人は顔も似ているし肌の色もほとんど同じです。でも、同じアジア人でも体形はけっこう異なります。韓国人の身体に日本人のおっぱいが似合うかと言うと、必ずしもそうではないようです。逆もまたしかりです。だから、当社では日本人には日本人の平均的おっぱいを提供し、韓国籍の方には韓国人の平均的おっぱいを提供するのを鉄則にしています。田中社長が韓国でのおっぱいレンタル事業を考えておられるなら、韓国の顧客のみを対象にされた方がいいと言うのがわたくしの意見です」  竹田くんの声、なんて頼もしいんだろう。彼が「おっぱい」「おっぱい」と言うたびに私の乳房は反応してしまう。夏子さんの愛撫を竹田くんの愛撫と混同している自分に気がつく。揉まれているのは乳房なのに、腰がくねくねと動いてしまう。動くほどに骨盤が暖められ、その微熱で子宮がトロリと溶けだす。  長い腕が両側から降りて来て、油断していた私の脚が開かれる。すかさず膝からワンピースの裾をまくられる。 「あっ、そ、そこは……。赦して……」 「ふふふ……、赦してなんてあげないから」  夏子さんが私の脇にしゃがむ。豊かな髪の毛に上品なウエーブがかかっているのが真上から見える。  ストッキングはつけいない。細くてまっ白で、私の大好きな腕が伸びてきて裾がまくられる。その指先がショーツの上から敏感な部分に触れる。 「くっ……」  クリトリスを触られて痛みを感じていたの遠い遠い昔の私。竹田くんに開発されたそこはショーツの布地に触れるだけで快感を全身にまき散らしてしまうのだ。 「私のおっぱい記念日に美彩、私に何をしたか覚えてる?」  夏子さんは意地の悪い目で私を見上げ、答えたくないことを聞いてくる。 「覚えて、ああん……、覚えていま、せ、ん……」 「ウソつきなさい!」 「はうっ!」  女の中心をつねられ、私は甲高く絶叫してしまった。慌てて口元を押さえる。  二人とも息を飲み、壁の向こうに耳を澄ませる。 「……でも、それは実験データをもっと集めてみないことには、何とも言えないことなんだね?」と、田中社長のだみ声。 「ところが、それだけではないんですよ」と、竹田くんの張りのあるバリトン。「もう一つの問題は、テレポーターどうしの言語の問題です……」  ふたりは熱を帯びた議論を戦わせている。そのおかげで私の嬌声は聞こえなかったようだ。一安心。 「覚えてるでしょ? あなたが私にどんな悪いことをしたのか」  夏子さんが私の耳元にささやく。 「……私、本当にワルイ子でした……」 「そうよ。すっごくワルイ子だったの、あなた。指を突っ込まれたんだからね。Gスポット、それから……奥の奥。私だって突っ込み返すんだから。覚悟しておきなさいよね……」  私は入り口を防御しようと両手を股間に集めた。夏子さんの手が私の股間から離れた。  ──た、助かった……。  ほっと安堵のため息をついたのも束の間。再度後ろに回った彼女に肩甲骨を押され、のめった上体がテーブルの上に這いつくばる姿勢になった。椅子から浮いたお尻が(まく)られる。そこはショーツ一枚だ。割れ目に指が這うのを感じた。 「ひいっ!」  つい大きい声が漏れ、しまった、と思ったのは私だけではない。夏子さんも手をとめ、接客室の様子に耳を凝らしている。今度こそ聞こえてしまったに違いない。  壁の向こうに耳を澄ます。
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