儀式

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「挿入の瞬間は、女神さまがきちんと見届けないといけないわ。だから……」  竹田くんが私としっかり目を合わせ紅潮した顔で、わかった、とうなずく。美彩は呆けたような顔で竹田くんを見上げている。おっぱいをねだる赤ん坊のようにくちびるをモグモグさせている。たぶん私の声は聞こえてないのだろう。 「じゃ……」  と言って竹田くんは上体を起こす。覗き見ると、たくましく男根が天空に向けて直立している。鈴口が私を睨みつけているようだ。女神さまを睨みつけるとは大した度胸だ。長さも太さもなかなかの度胸だ。  彼は美彩の腰を両手で抱え引き寄せる。そして、両膝を掴んで左右に広げる。もうこれ以上開かないというくらいに広げる。と、美彩の性器が朝日にキラリと輝いた。しっとりと濡れた淡いピンクが美しい。  竹田くんを喰いしめたくてしょうがないのだろう。膣口がヒクヒク震えている。震えるたびに透明な粘液をダラダラと垂らし、肛門をも濡らしている。クリトリス自体が大きいのだろうか、それともそれを覆う鞘に余裕があるのだろうか、脇から見ると矢印のように前方にツンと突き出ている。竹田くんの剛直に戦いを挑むかのように威勢がいい。  竹田くんの横にしゃがみこむと、ムッとした淫臭が鼻先を通り過ぎる。二人の間に手を差し入れ、右手で美彩の突起を指で剥いてやった。だって、私は女神だから。二人の快感が最大値を記録できるように導いてやる使命があるのだから。 「あうっ……、な、夏子さん……」  小さな小さな真珠が顔を出している。粘膜がピンと張ってパールピンクに輝いている。太陽系の中心が顔を現わす時刻に、女体の中心であるクリトリスを顕わにしてやることは惑星の運行と人間の営みをつかさどる女神としてたいへんふさわしい行為に思えた。そう。女神さまは神秘のベールに包まれながらも、正しくなくてはならないのだ。  女神さまが神秘の指先で女芯の先をちょこんと触れてやる。 「はうっ!」  大げさに腹筋を痙攣させ美彩がのけぞった。首を起こし私の手首を掴み、ダメ、ダメ、と首を横に振り懇願している。そういう顔を見るともっと虐めたくなるが、それは竹田くんの仕事だ。グッと欲望を押さえる。  もう片方の手で竹田くんのペニスを掴むと、彼も身体をぶるっと震えさせ、ふっ、と熱い息を吐いた。 「め、女神さま……、そ、そ、それは……」  竹田くんは腰を引きかけたが、私は眉をしかめ無言の叱責を与えた。それでも私を「女神さま」と呼んだのだから赦してあげよう。竹田くんは正しい。女神さまは正しい人間が大好きなのだ。  ふたりの性器は女神である私の手により一つに連結されるべきだ。そう、愛し合う男女を結びつけることが女神の役割。それが儀式としての正しい在り方だと思う。
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