儀式

4/8
前へ
/68ページ
次へ
 ペニスというのは発育が良ければ良いほど黒くなる傾向があるようだ。ところが竹田くんのそれは子どものようにピンク色で、童貞ではないかと錯覚させるほどの初々しさを湛えていた。私はそれを口に含みたい衝動に駆られた。それを抑制できたのは、ひとえに美彩に満額で幸せになってもらいたいという強い思いがあったからだった。 「天のお父さま……」  専門学校時代にいっとき通っていた教会では牧師がたしかこんな感じで祈祷をしていたと思う。 「竹田健志くんと片岡美彩さんがここに夫婦の契りを結びます。すばらしいオルガズムが体験できますように。赤ちゃんができますように。どうか二人の幸せが長く長く続きますように。子供を責任もって育て上げられますように」  アーメン、と唱えてから、私は仰角90度の竹田くんのそれをグイっと押し倒た。付け根から先端までの長さがさらに増したような気がする。指が回り切れない太いそれを美彩の膣口に導いてやった。そしてもう片方の手では美彩のクリトリスを指で愛撫し続ける。すると美彩から潮が噴き出て竹田くんの立派なものにシュワッ、シュワッと祝福を浴びせた。朝日をキラキラと反射した水しぶきは宝石の粒のようだった。幻想的な美しさだった。私はそれがとてもいい兆候に思えた。 ──きっと、今日赤ちゃんができるわ……。  亀頭の先端が膣口に食い込んでから、根元まで完全に挿入されるまでの瞬間瞬間を私は見守った。小さな穴にズズズ、ズズズと食い込んでいく。愛液があふれ出て鉾の周りをまわり、糸を引いて垂れる。襞を一枚かき分けるたびに美彩はのけ反り、嗚咽するような声を上げる。あんなに小さなからだの美彩にあんなに太くて長いものが突き刺さるというのが不思議だった。きっと、何度も何度もセックスを重ね、美彩の膣は竹田くんの形にぴったりになっているのだろう。  ふたりは挿入を保ったまま、マットレス上を転がりまわった。喘ぎながら、笑いながら、叫びながら、喜びの嗚咽を上げながら。体位は正常位から対面座位、対面座位から騎乗位、そのさまざまなバリエーションを楽しんだあと、いったん結合を解き、シックスナインの体勢になった。美彩が上で、竹田くんが下。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加