45人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
夢を見た。
竹田くんに激しくおっぱいを揉まれていた。粘土でオブジェをこしらえるようにねちっこくこね回されていた。
おっぱいが床に落ちてしまった。ふたつのおっぱいはゴムボールのようにポーンポーンと弾んでドアから出てゆく。
私と竹田くんは慌ててふたりの後を追う。そう、この時点でおっぱいは人格を持った「ふたり」として認識されていた。
どこまで追ってもおっぱいはポーンポーンと弾みながらどこかを目指して進んでゆく。後ろから見ていると双子の幼児のようだった。
「エヘヘへ……!」
「アハハハ……!」
おっぱいが笑っている。私と竹田くんもなぜか嬉しくなって、大きな口をあけて笑う。おかしくておかしくてしょうがないのに、おっぱいたちの後を追うのは必死だ。
「アハハハ、楽しいね、美彩!」
「ワハハハ、最高にしあわせね、竹田くん!」
道の突き当りにまっ白のペンキに塗られた高い柵がある。おっぱいたちはそれをヒューンと飛び越える。私たちもおっぱいたちの楽しい笑い声につられてヒューンと柵を飛び越える。高い柵だったけど、軽々と飛び越えられた。
目の前に真っ青な芝生が広がった。
あれ? ここって保育園の庭じゃん。
園児たちがお母さんたちの手に引かれて帰って行くのが見える。リツ君のお母さんも、かおりちゃんのお母さんも定刻にお迎えに来ている。
全開にされたベランダの窓。
園長先生と夏子さんが私たちのおっぱいを抱きしめ頬ずりをしている。
「ああ、よかった。あの子たち、あんなにかわいがってもらってる!」
私が言うと竹田くんも全く同じことを言った。
「ああ、よかった。あの子たち、あんなにかわいがってもらってる!」
竹田くんが私と一語もたがえずに同じことを言ったのがとてもおかしくて、ふたりで青空に大きな口を開けて、アハハハと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!