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ハクハクと息を注いで身体を震わせる。腹の奥で同じように震えたそれが熱い物を吐き出したのを感じた。
ズルリと引き出されて、酸素が足りずに息継ぎをしている僕の頬をその手が優しく撫でた。
吐精して興奮が収まり、Ωのヒートとαのラットが落ち着いく。
だけど、その甘い香りが身体中にまとわりついている。
「俺のΩよ。名前を、教えてくれないか?」
同じように荒い息を注ぎながら今更名前を聞かれて、こんなに興奮ていたのかと恥ずかしくなった。
「……レイです」
「レイ。お前は俺のΩだ」
先ほどまでの興奮して熱を持った掠れ声とは違う、優しい声音。群青の瞳が僕を見下ろしている。
「僕が、あなたのΩ?」
聞き返すと、「そうだ。お前は俺のΩで、俺はお前のαだ」そう言って頬に触れた手が優しく汗で張り付いた髪をかき上げる。そのまま頭を撫でられる。
見下ろしている群青の瞳が細められる。まるで愛しいものを見るかのように。
急に連れてこられて身体を暴かれて、『俺のΩ』と言われて動揺している。
だけど、嫌な気はしない。
こんなαに言い寄られて落ちないΩがいないはずはない。
誰もが望んで彼のΩになりたがるだろう。
「どうして、僕なんですか?」
どうして僕を選んだのだろう。
新国王の彼を間近で見たのは今日が初めてだ。
パレードが無ければ彼の姿を見ることは叶わなかっただろう。
「引き寄せられたからだ。お前を見てすぐに、『俺のΩ』だと悟った。お前もそうだろう?」
αに出会ったことはないし、新国王ほどの上等のαならΩは誰もが引き寄せられるだろう。
「αには初めて会いました。あなたほどのαなら、誰もが引き寄せられると思います」
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