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僕の上にのしかかるようにして覗き込んでいて身動きが取れない。顔の両側に手をつくと、音を立てて軽いキスをした。
「ああ、本当に可愛い」
うっとりと言われても恥ずかしさが募るだけだ。
「身体は大丈夫?」
気遣われて恥ずかしさにうなづいた。
「それはよかった。昨日はここを噛まなかったけど、発情期がきたら俺のΩになってもらうよ」
「それは……」
昨日会ったばかりで、そういう行為もしたけど、急に番にと言われても戸惑うばかりだ。
「レイ・ジュード」
「な、何で名前?」
名前しか名乗らなかったのに、何でフルネームを知っているんだろう。
「18歳」
「…………」
「両親はロイス・ジュードとサラ・ジュード。兄弟は兄が2人」
ニコニコしながら言われて戸惑う。
「恋人はいない。ね?」
言われて頷く。
「俺のものになる条件は揃っているよ。恋人もいないし、家は兄たちが継ぐ。それにΩだって事。兄たちには好条件の結婚相手を紹介してやろう」
つらつらと言いながら僕に詰め寄る。
「俺のΩ。俺の番になってくれないか?」
微笑みに身体が熱くなるのを感じる。昨日出会った時のように熱が上がるのを感じる。
『俺のΩ』と言われて歓喜している。
「……僕は、あなたを知らない」
国王だから僕のことなんて容易に調べることができる。だけど、僕は何も知らない。
「俺は、セナ・フェイバー・ルクアス。24歳。弟が2人と妹が1人。両親は既に他界している。恋人はいない」
引き起こした手に口づけをされた。
「レイに求婚中だ」
「き、求婚って」
慌てて手を引く。
「何も心配することはない。お前のことは俺が守る。約束する」
約束。
「次の発情期までに答えを聞かせてくれればいい」
次の発情期までは2週間ほど先だ。
「家にはしばらくここで生活すると使いを出した。心配することはない」
「ここで?」
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